大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 昭和50年(特わ)2580号 判決

被告人

(一)本店所在地

東京都大田区大森西二丁目三二番一〇号

玉田実業株式会社

(右代表者代表取締役玉田富衛)

(二)本籍

東京都大田区池上八丁目三三番地

住居

東京都大田区南雪谷四丁目四番一一号

職業

会社役員

玉田富衛

大正一三年一二月一三日生

出席検察官検事

清水勇男

主文

被告会社玉田実業株式会社を罰金二、五〇〇萬円に

被告人玉田富衛を懲役一年にそれぞれ処する。

被告人玉田富衛に対し、この裁判確定の日から三年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、東京都大田区大森西二丁目三二番一〇号に本店を置き解体工事及びスクラツプ販売等を営業目的とする資本金三、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人玉田富衛は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人玉田富衛は被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部除外及び架空経費の計上などの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和四七年二月一日から同四八年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一〇四、四八一、二三六円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同四八年三月三一日東京都大田区中央七丁目四番一八号所在の所轄大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二二、〇七五、九五六円でこれに対する法人税額が六、七九一、六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額三七、〇七五、四〇〇円(別紙(三)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額三〇、二八三、八〇〇円を免れ

第二  昭和四八年二月一日から同四九年一月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が二五〇、四二九、七七三円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、同四九年三月三〇日前記大森税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五六、九八五、一三八円でこれに対する法人税額が一九、三一九、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額九〇、四〇九、九〇〇円(別紙(三)ほ脱税額計算書参照)と右申告税額との差額七一、〇九〇、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭事実および全般にわたり

一、 被告会社の登記簿謄本

一、 被告人玉田の当公判廷における供述

一、 同じく検察官に対する供述調書

一、 同じく収税官吏に対する質問てん末書一一通

一、 近藤二郎の収税官吏に対する質問てん末書二通

判示事実添付の別紙修正損益計算書(一)及び(二)の科目別の増差額につき

<売上につき>

一、 収税官吏長谷川正規の昭和五一年一月二二日付売上調査書〈3〉

一、 同じく右同日付架空売上調査書〈10〉

<工事収入(四九年一月期)につき>

一、 同じく昭和五〇年八月一五日付工事未収入金調査書〈28〉

<繰越商品、棚卸商品につき>

一、 同じく昭和五〇年八月二五日付たな卸調査書〈11〉

<工事支出金、運搬費、修繕費につき>

一、 同じく昭和五〇年七月二五日付架空工事費等調査書〈16〉

<福利厚生費、工事支出金(四九年一月期支出洩れ)につき>

一、 玉田富衛外二名作成名義の昭和五〇年八月九日付簿外経費についてと題する上申書〈42〉

<外注加工費、雑費につき>

一、 玉田富衛外一名作成名義の昭和五〇年六月三〇日付簿外経費についてと題する書面〈41〉

<役員報酬につき>

一、 収税官吏長谷川正規作成の昭和五〇年八月六日付代表者勘定調査書〈18〉

一、 同じく昭和五〇年八月一五日付仮受金調査書〈19〉

<交際費につき>

一、 市川富美子作成名義の昭和五〇年八月二日付取引内容に対する回答書〈20〉

<貸側引当金につき>

一、 収税官吏長谷川正規作成の貸側引当金の損金算入額調査書〈21〉

<受取利息につき>

一、 収税官吏杉山進作成の昭和五〇年八月一三日付普通預金(仮名)各期末残高および利息合計表〈22〉

一、 同じく右同日付仮払源泉所得税調査書〈23〉

一、 前記<役員報酬につき>で掲げた二通調査書〈18〉および〈19〉

<減価償却につき>

一、 収税官吏長谷川正規作成の昭和五〇年八月一五日付減価償却資産の調査書〈24〉

一、 同じく昭和五一年二月二一日付減価償却額の調査書〈40〉

<交際費限度超過につき>

一、 同じく昭和五〇年八月一五日付交際費損金算入限度額調査書〈26〉

<受取配当金不算入(四九年一月期)につき>

一、 同じく昭和五〇年八月一五日付受取配当益金不算入調査書〈31〉

<事業税認定損(四八年一月期)につき>

一、 同じく昭和五一年二月九日付修正損益計算書〈32〉

<価格変動準備金につき>

一、 大森税務署長作成の青色申告承認取消し証明書〈43〉

判示事実のうち過少申告提出の事業及び公表金額につき

一、 法人税確定申告書昭和四八年一月期分(昭和五一年押第三六三号の符五)

一、 同じく昭和四九年一月期分(右同押号の符四)

一、 元帳三冊(右同押号の符一~三)

(法令の適用)

被告会社につき

法人税法一五九条、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

被告人につき

法人税法一五九条(いずれも懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)、二五条一項。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 中村勲)

別紙1

修正損益計算書

玉田実業株式会社

自 昭和47年2月1日

至 昭和48年1月31日

No.

〈省略〉

〈省略〉

別紙1-2

No.

〈省略〉

別紙2-1

修正損益計算書

玉田実業株式会社

自 昭和48年2月1日

至 昭和49年1月31日

No.

〈省略〉

〈省略〉

別紙2-2

No.

〈省略〉

別紙3

ほ脱税額計算書

玉田実業株式会社

自 昭和47年2月1日

至 昭和48年1月31日事業年度分

自 昭和48年2月1日

至 昭和49年1月31日事業年度分

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例